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二年連続四度目の勝利

 三十六年のインタハイで済済黌水球部は二年連続四度目の優勝を記録した。すでに優勝経験を持つ桑山、入江、小陳らの三年生がチームの主力となり、連勝の気迫を燃やして練習を続けた。部員は主将・村山憲三、桑山博克、入江昭雄、小陳修臣、堀緑容、坂本誠也、豊永修介、松田康、福永冠治、下村佑次郎、平田和彦らである。その努力によってぐんと力のあるチームに育った。五月の末広杯高校大会で、文句なしに十三連勝を飾ってこの年のスタートを切った。
 さらに七月には東京で開かれた日本選手権水上大会の水球に大学チームにまじって出場した。一回戦で明治大の駿台クラブと対戦し大接戦のすえ10-9で勝ち、二回戦でも法政大Bチームに7-6の1点差で勝って三回戦に進んだ。ここで大学チームのNO1日大に敗れたが、高校チームが全日本選手権で三回戦まで勝ち残ったのは済済黌が初めてで、その新記録によって“済済黌水球部”は実力を高く評価された。
 選手たちが自信を持ったのはいうまでもない。連勝の意欲に満ちて八月十八日から石川県の金沢市営プールで開かれたインタハイに臨んだ。参加校は十五校で前回優勝の済済黌はシードされて一日目は不戦勝ち。大会第二日の十九日、準々決勝で早大学院(東京)と対戦したが、試合は一方的。11-0で大勝した。つづく準決勝の相手校山城高(京都)も寄せつけず、16-2で破って決勝戦へ進んだ。
 大会最終日の二十日は雨の悪コンディション。決勝は宿敵の鴨沂高(京都)である。前年の熊本国体でも決勝戦で対戦し、地元での優勝を夢に終わらせた鴨沂だった。済済黌は激しい闘志をむき出してゲームを盛り上げた。そして終始鴨沂を圧倒し、5-3で連続二年の全国制覇をなし遂げた。

 この決勝戦のもようを熊本日日新聞はつぎのように評した。
 ――「動きの速い済済黌が優位に試合を進めた。第一クォーター47秒済済黌は坂本がマークをはずしてシュート、先取点を上げた。3分には小陳―坂本のうまいパスで2-0とはなした。このあと鴨沂に2点を許し同点に追いつかれた。しかし小陳―坂本のコンビで勝ち越し点をあげ、第四クォーターの1分30秒村山がゴール左からGKのタイミングをうまくはずして大勢を決めた。するどい出足と激しい闘志をもつ攻撃陣、さらにGK入江の好守もあり順当の勝利だった」――
 三十二年の国体優勝を加えれば五度目の全国優勝であった。


昭和36年春、済済黌グラウンドにて恩賜大運動会のパレード前


凱旋した熊本駅ホームで黌長や関係者の出迎えを受ける


※出典「郷土スポーツの歩み 熊本の体力」(昭和42年 熊本日日新聞社刊)より抜粋
by swpc | 2011-09-08 15:59

ヘッダー写真:昭和36年、インターハイで二連覇し凱旋した熊本駅ホームで歓迎を受ける済々黌チーム


by swpc

Note

濟々黌水球部の歴史は戦後復興の始まりとともにスタートしました。以来今日まで65年、苦難と栄光の歴史をあらためて振り返り、未来への道標とすべく、このブログを開設いたしました。必ずしも時系列ではありませんが、少しずつエピソードをご紹介していきたいと思っています。また、OBその他関係者の皆様から「想い出話」の投稿をお待ちしています。また、お手持ちの写真がありましたら、ぜひご貸与ください。
平成23年8月
    柴田範房(昭和39年卒)
連絡先:
ugg99537@nifty.com

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